ウルトラセブン12話のスペル星人の宇宙時計の制作

DESIGN WORK
(※本記事は4ページに渡る非常に長い記事になります。3Dプリントで制作した完成品等、最新の追記情報のある最後のページにはこちらから飛べます。)

1970年、学習雑誌 小学2年生の付録のカードでウルトラセブン12話に登場するスペル星人が「ひばくせい人」と書かれたことがきっかけで、被爆者団体からの抗議により現状欠番(放映、ソフト販売の禁止)となってしまっているウルトラセブン12話に出てくる宇宙時計です。12話に関しては解説していると3ページ位かかりそうなので割愛させて頂きますが(詳細はこちらのwikiこちらなどご覧下さい。)、私も12話はもういい加減解禁しても良いのではと思ってます。映像作品としても、実相寺昭雄監督ならではの「このシーンをこのアングルで撮るか!」といった非常に攻めた画面構成、アンヌさんとウルトラマンの科特隊のフジ・アキコ隊員(アンヌさんの高校時代の友人として登場)のダブルヒロイン、既に30年以上前に解体されてしまった百目(百窓)ビル、アイスラッガーの水切りなど、いろいろと見所の多い回なのですが、当サイト的にはこの12話のキーアイテムが「腕時計」、しかもそれがすごくカッコイイ、というところが一番ぐっとくるところです。
ということで、12話解禁時には是非ともこの宇宙時計を解禁記念モデルとして再現して製品化して欲しいと願い、今回、CGでの再現、及び、それを元にした3Dプリンターでの試作を試みた次第です。

CGの制作

まずはCGの制作についてご紹介。12話の映像はもう20年以上前に何度もダビングされたらしき酷い画質のVHSを持ってましたが、最近はwebでも検索すれば出てきますので、それらを見ながらモデリングしました。今なら4Kリマスターした12話とか放映してくれたら、よりディティールが分かって良いのですが。

ということで、2次元CADで図面を起こし、イラレ経由でライノでモデリングし、KeyShotでレンダリングした画像を以下にアップします。デザインがシンプルなだけに私のスキルではどうやってもCG臭が消せません。。オリジナルはきっとステンでしょうが(ストーリー内ではスペリウムという宇宙金属)、よりリアリティーを出す為にちょっと粒状感のあるチタン風なテクスチャーにしています。
また、映像を見るとこの宇宙時計は何本かある様です。少なくとも早苗さんの腕時計を佐竹さんがすり替えて腕に巻くシーンでは2つを持っているのが確認できますので、2本以上はあるはずです。あとはキリヤマ隊長が手に持ってるシーンのものは上面のスイッチがなく、ケース形状もかなりぷっくりしていて風防も無さそうとか、血液の結晶を出すシーンのものは背面の曲率がかなり平面に近く見えるとか。。。とりあえずプロップとしてはアップに耐える事を前提として作られたであろう、冒頭の倒れる女性の腕に巻かれていた物が一番出来も良さそうなので、その画像をベースにモデリングしました。

この上下円筒面のスカッとした造形にかまわず丸穴を開けた潔い造形、カッコイイです。宇宙時計系で他のカッコイイモデルとして1968年公開の2001年宇宙の旅の時計もありますが、放映はこちらの方が先(1967年)ですね。どちらもケースとベルトの一体感のある帯っぽいデザインが共通しています。

風防は平面かと思っていたのですが、ダンとフルハシが福田博士の研究室を訪れるシーンでは風防の角Rがきらっと光っているので、風防は平面でなく、丸みを帯びていた事に気づき、それ風なぷっくり気味な風防を入れてます。

また、ケース上面のリューズ(スイッチ?)には”C”らしき凸の刻印があるので、多分当時のシチズンの時計のリューズを使用しているかと思われます。(だとすると風防も同シチズンのドナーとなった時計をバラして入れているのでは?とも思われます。)アキュトロンの背面リューズの様な、垂直方向に引き出して操作させるリューズ想定なのか、単純に何かのプッシュボタン想定なのかは謎です。

白バックでのレンダリング。そもそもこの時計はどうやって時刻表示をする想定だったのでしょう?(プロップとしては時計機能など入れてないでしょうが)中央の丸い円盤の下に時針分針があり、それぞれの形状の異なる針先だけが黒いリング部に出ていたとか、もしくはZODIACのASTROGRAPHICの様な手段とか。。しかし今、復刻時計を出すのなら、円形のスマートウオッチのモジュールを入れると良さそうですね。丸い有機ELの画面に円盤と12個のインデックスを直に貼り付け、グラフィカルに液晶画面で時針分針を表示するとか。

この側面から見た断面形状、上面は普通の円弧なのですが、底面はラグを成り立たせようとするとどうしても単一の円弧では成り立たず、イラレで描こうとも思ったのですが、当時はベジェ曲線で図面を起こすなどという概念すらなかったでしょうから、ここは作図して作れる円弧の複合Rで形状を定義しました。

で、ついでにシンクローナと並べてレンダリングかけてみたらびっくり。思いの外、宇宙時計薄くて小さいです。スケール感はベルト幅が20mmだろうという想定の元で全てのプロポーションを決めてるのですが、22mmか24mmなのか??という気もしてきました。しかし、女性や子ども向けにはこの位がMAXな気もします。早苗さんの腕にも馴染んでるっぽいですし。

ちなみにこの時計の「上方向」はスペル星人の出した新聞広告の画像からリューズのある方が上かと思われるのですが、早苗さんは上下逆に付けておられました。(アンヌさんが「あら、いい時計しちゃって」と言うシーンで確認できます。)

以下は制作工程のスクショです。まずは2次元の図面を3次元のデータ内に読み込み。

シンプルな形状ですので、断面形状さえ決まれば立体化は早いです。(この風防形状はボツ案。)

裏蓋も開く様にし、血液の結晶を取り出せる様にしてます。裏蓋周囲の縦壁の形状がなんとも映像では分かりにくいです。

ほぼ完成した形状。リューズはシチズンの当時のリューズの画像検索をし、ほぼこれだろうと言うのを見つけ、ローレットの数合わせ等、結構時間がかかりました。

で、ここで改めてアップしたCGを見返してみたら、なんと全てのレンダリング画像のリューズの位置がかなり内側に入ってしまってることに今頃気づきました。がーん。質感とアングルばかり見ていて気がつかなかった。。どうしましょう。フォトショで直すのも面倒なので、とりあえずもうこのままとします。すみません。

気を取り直して、ラグ部分断面形状。三角断面のラグ内にバネ棒が納まり、かつベルト厚が本体を超えない様にするボジション決めに時間がかかりました。結果、ラグ内の断面形状を下図の黄色い「くの字」の断面形状にし、ベルトを本体側に食い込ませることによりなんとか成り立ってます。

曲率違いやラグのRの取り方などいくつも作ってはざっとレンダリングをかけ、映像のスクショと見比べてはまた元に戻る、の繰り返しで最終形状を決めていきました。。

ということで最後に完成したカットをもう一度。この時計、現存する物はもう無いんでしょうかね。。

以上、ウルトラセブン12話の宇宙時計のCGの制作のご紹介でした。(2021.4.22.)

2021.4.24.追記・・・Twitterおよびインスタでの非常にたくさんのいいね、RT、ありがとうございます。リューズの位置を修正してレンダリングかけ直してみましたので、画像をいくつかアップします。曲面風防の存在がわかる様にある程度何かしら反射させる具合が一番悩みます。

リューズは大分外側になりました。

ちょっと暗めですが、これまでとは違った環境設定でレンダリングかけるとこんな感じです。風防の面の荒さを0にして屈折率を上げるとツヤッツヤに反射してかなりいい感じですが、プラ風防という感じは薄れますね。。むずいです。

最後に白バックで。白バックの方が自分で撮った風なリアリティーさが増しますね。

以上、画像の追記でした。次は3Dプリント出力用のデータ作成に入ろうかと思います。

2021.5.3. 追記・・・次ページ以降に3Dプリント出力による制作工程をアップしました。

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