1960年(1961年かも)発売のBENRUSの電磁テンプ時計です。ムーブはこちらでご紹介したモデルと同じLANDERONの電磁テンプムーブでハック機能の無いファーストモデルの4750です。12時位置以外の全てのインデックスバー、時針、分針、秒針と全てがビリビリしたイナズマ形をしており、私が知る限り、このモデルは世界最多のイナズマディティールを持つモデルかと思われます。
インデックスバーは単にシルエットをイナズマ形にするだけではなく、立体的にビリビリした造形をしています。
カッターで斜めに切ってずらした様な時針、分針の形状もカッコイイです。12はイナズマ形をしていませんが、この12の形状もまたカッコイイです。実は秒針は入手時はビリビリしていない普通の形状をしたものが付いていたのですが、検索するとやはりオリジナルは秒針も後端がイナズマ形をしていた様なので、別途このイナズマ秒針を入手し、付け替えた次第です。(ちなみにこの秒針はこちらのハミルトンリコーのものです。)
エレキ黎明期のシビれる時計探索はこのモデルの入手で落ち着いた感じです。しかし61年も前にこのデザインが出来上がっていたって、すごい事ですね。
背面です。電池蓋はパッコンとはめるタイプで、OPEN WITH BLADE. の刻印があります。
電池蓋を開けた状態。電池室の底は絶縁の為と思われる透明プラスチック製でムーブが見える様になってます。バッテリーはSR43SWでスペーサーがついてました。
裏蓋を外した状態。中央に電池の接片があります。
他のイナズマディティールの時計たちと。左から、Hamilton-Ricoh、この時計、ブランド表記なしモデル、lip、です。
最後にもう一度斜視を。
以上、ベンラスのビリビリした電磁テンプ時計のご紹介でした。(2021.8.26.)
2021.10.9.追記・・・どうも調子が悪かったのでオーバーホールに出したのですが、ムーブの一部に破損があることが原因ということが分かりました。1960年代の電磁テンプのパーツでもwebを探せばまだ意外と見つかるのですが、今回必要なパーツは見つける事は出来ませんでした。ので、ドナーとなるものを探していたのですが、友人のHaKuさんが同ムーブを使用している不動のウィットナーのモデルを所有しており、それをお譲り頂きドナーとしてパーツを移植することで、無事修理することができました。(HaKuさん、ありがとうございました!)下の画像は先日受け取った時に撮影したものです。電磁テンプモデルとして非常に人気のあるWittnauerのELECTRO-CHRONをドナーに修理なんて、なんと贅沢なのでしょう。
精度は+3秒まで追い込んで頂きました。いつもありがとうございます、Eさん。
で、今回オーバーホールするにあたり後端のイナズマの形状のボリュームがよりオリジナルに近いので、秒針をウイットナーのモデルから移植しました。で、このモデルに付けていたハミルトン・リコーのものはウイットナーの方に付けておきました。
2本並べての図。ウイットナーのモデルは風防が割れていたのですが、それも径の合うものに交換して頂き、不動ではあるものの、見た目はいい感じに仕上げて頂きました。こちらも後に動く様にできればと思います。
朝日の中、腕に巻いた状態。
以上、オーバーホールをしたことの追記でした。