セイコーのREBIRTH展を見てきた

セイコーさんが深澤さん抜きでpower design projectを再開させたそうなので、見てきました。ブログ記事にするつもりはなかったのですが、1本とてもよい作品があったのと、05LCの転生モデルについての記事のリクエストを頂いたので、今回はそれらについてアップします。

ということで、かなりよかったのがこちらの70年代のクロノのタイムソナーをREBIRTHさせた「Time Sonar 434 Feels」と名付けられたモデルです。タイムソナーというマニアックなモデルのクロノ機能をばっさり切り捨て(積算計のないクロノムーブが無いからというのもあるかもですが)、そのディティールのみを使い、非常に上手に転生させています。今回の展示のコンンセプトからもこのモデルをキービジュアルにすべきだったのでは?とも思います。

で、このモデル、半透明文字板から透けて見える本来、曜日と日にちの表示を「いい感じ」の動詞と名詞のテキストに変え、毎日変わるその組み合わせを情緒的に楽しむ、という時計になっています。(詳細な解説はこちらのオリジナルのサイトをご覧下さい。)YOUと表示された歯車形状の円盤は秒針で常に回っていますが、そこから読んでいくと上の画像だとYOU feel goldという文章(メッセージ)になります。円盤を見るとYou eat cat (!?)となる日もある様ですw また曜日の円盤は本来は日英並列で表記しているので24時間ごとに1つ飛ばしで動くのですが、このモデルは12時間ごとに1つずつ進む様にムーブに手を加えているそうです。

オリジナルのタイムソナーの外装の表面処理は腕時計にしては珍しいブラスト仕上げ(だったと思うのですが)になっているのですが、この転生モデルもそれに倣って、ニジニジと光るとても綺麗な外装に仕上がってました。モノトーンの中の蛍光色の差し色も効いており、このベルトも良いですね。

裏面。ここはなぜにmeにしたのか、表のYOUとのストーリー性を聞きたかったです。

オリジナルのタイムソナー。私は昔ホームラン商会のセールで買ったジャンクなものを持ってましたが、随分前に売っちゃいました。タイムソナーは30分積算計のついた黒いモデルもカッコイイです。

・・・という感じで、展示はこんなでした。

次、05LCの転生モデルなんですが、そもそも05LCはスプーンで十分に転生し終わってるんではないですかね? 昔、スプーンのデザイナーの講演聞きに行った時に、プレゼンでオマージュとして05LCを紹介してた時に思いっきり私の本の画像を使ってて、おいおいってなった覚えがあります。

てか、企画の趣旨が「過去モデルの転生」なら、まずは取り上げた過去モデルのちゃんとした原型の入手からじゃないんですかね??70年代デジタルで液晶が死んでしまってるのは止むを得ないかもですが(今でも普通に元気な個体は多々ありますが)、せめてこのモデルを自社内の企画で選んだのであれば、デザインのキモとなる、オリジナルのメッシュベルトの付いたものを展示すべきかと思います。セイコーさん持ってないんですかね?? (毎度この手の展示を見る度に「一言くれれば。。」と思います。。)今見るとこのベルト、どうやって付いてるのでしょう?てか、台座の方に付いてて時計には付いてない??

展示にはこんな注意書きがありましたが。。

で、この転生モデル、セラミック切削とのことですが、、、今流行りなラグスポ云々みたいなことが説明にありますが、どのディティールをもってラグスポなのでしょう??転生の話抜きにしてデジタルでラグスポのジャンルに挑むというのはとても良い試みだとは思うのですが。。で、前ボタンはちゃんと機能していましたが、垂直に立った円筒をケースに合わせて斜めに切っただけの門松状の(外装面に対して放線方向を向いた円筒でない)キートップも残念です。

背面。転生ならメッシュベルトはやめといた方がよかったのでは?

セラミックがムラっぽく見えるのは中のムーブが透けて見えてるそうです。

展示はこんな。05LCの液晶が妙に普通のグレー色です。

その他のモデル、キングの転生。多面体状のザラツ研磨はすごいですね。

さらにその他の時計達。

・・・これの前の回のインスタレーションを軸とした展示はかなり良かったですね。ゲンゴロウの様に水面を進むメトロノーム時計とか、クワクボさんと組んだ影絵とか・・・以上、セイコーのREBIRTH展を見てきたことのアップでした。(2023.2.18.)

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