NUTS / SYD MEAD WATCH

ANALOG

昨年(2019年)の12月30日にシド・ミードさんが他界されてしまいました。ハードのデザイン及びそれを可視化する表現力が非常に魅力的なのはもちろんなのですが、それが存在する世界観、人々がそこで普通に暮らしている情景までも含めて「未来」をデザインできるデザイナーは今もなおシド・ミードさん以外に存在しないのではないでしょうか。私は学生時代からずっと氏のファンで何度スケッチの模写をしたことか・・・後にプロダクトデザインの仕事をする様になり、とあるご縁でシド・ミードさんの日本におけるエージェント業をお手伝いすることになり、2009年にSYD MEAD JAPANを立ち上げ、その後2011年末までプロダクトデザイナーとして協力させて頂いてました。今回はそのSYD MEAD JAPAN時にシドさん監修の元、デザインし販売した時計も含めてシド・ミードさん関連の腕時計をご紹介します。上の画像、左2本がシドさんデザインによるessence、右2本がシドさん監修の元、私がデザインしたPROMISE、中央がfitbit Versa用に私が作成したシドさんフォントによるウオッチフェイスです。以下、個別に説明していきます。

essence
まずはシドさんご本人デザインによるessenceです。2003年にセレクトショップのNUTSさんから限定999本販売されたクオーツ時計で、後に同デザインの機械式のモデルも300本限定販売されています。(シドさんによるデザインコンセプト等はこちらにまだ紹介ページが残っていましたので、そちらをご覧頂ければと思います。)で、私の所有物のクオーツ版のessenceには2007年にシドさんが来日した時にガラス面にサインをして頂いてます。

こちらは自動巻きのessence。青い差し色が効いた、ベルトのステッチと一体感のあるデザインです。

文字板の拡大。ものすごく小さい字でessenceと印刷されています。針のセンターのリングの重なったデザインもスペーシーでカッコイイです。

裏面。機械式のモデルはスケルトンバックです。機械はミヨタ製です。

径は同じですが、厚さは大分違います。上のクオーツが8.5mm、下の機械式が12.3mmです。

 

PROMISE
次はSYD MEAD JAPANでデザインした、シドさんのオフィス設立40周年を記念して限定1970本(オフィス設立年の1970年にちなんだ本数)販売したモデルのPROMISE。2010年発売で(もう10年前!)、既に販売終了していますが、いまだにamazonのこちらには画像は残っています。

黒モデル斜視。ケースもオリジナルデザインを起こしています。

デザインのモチーフはシドさんによるこのビジュアル(ブレードランナーのスピナー)です。

スピナーのアイコニックなライティングをモチーフとして、極めてグラフィカルにデザインしました。下は販促用に作成したビジュアルです。

スピナーのホイールカバーの円弧状のライティングを文字板に、本体後方エアブレーキの斜めのライトをベルトに、屋根のライティングをリューズの色入れで表現しました。カラバリは白バージョンもあり、こちらはSYD MEAD JAPAN限定モデルでした。

本当は針はZODIACのAstrographicの様に透明円盤に印刷した針にすることにより、物理的な要素を極力排除し、より平面構成的なイメージにしたかったのですが、量産する中国から来たサンプルの出来があまりに酷く、止むを得ずこの様な通常の針になっています。

そのこと以外はほぼ当初のイメージ通りのビジュアル的にインパクトのあるデザインにまとめる事は出来たかと思います。

裏蓋にはデザインモチーフとしたスピナーのシルエットとシリアルナンバーが刻印されています。

専用のボックスもデザインしました。エンボス加工によるスピナーのシルエットとシドさんのサインだけという、非常にシンプルなデザインです。また、「2010年」にちなみ、箱のプロポーションを1 : 4 : 9 とし、『モノリス』のプロポーションにしています。

ポストカードとステッカー、保証書が同梱されており、特にシドさんステッカーは世界初かと思います。(当時のiPhone4に貼るのに丁度よい大きさにしていました。)

販売当時の渋谷ロフトでの店頭ディスプレイ。

かなりトリミングした状態ですみませんが、シドさんご本人に持って頂いている画像。この画像は初出しかと思います。シドさんからのメールでこのデザインについて「SUBURASHI!!!」(スバラシイ、ですね)とお褒めの言葉を頂いてました。

 

fitbit Versa
最後はfitbit Versa用に作ったシドさんデザインのフォントのウオッチフェイスです。これで2時32分02秒です。こちらで販売中です。

昨年のシド・ミード展にも連れて行きました。

fitbit studioでプログラミングしている風景。

フォント作成風景です。

イラレで仕上げ後、

Glyphs(フォント作成アプリ)にコピペし、大きさやスペース具合を整え、

.otf書き出しをしてオリジナルフォント化しました。

Pebble
fitbit用に作る前にはPebble用に作ったりとか(下のフェイスは最下段で07時53分と時刻表示をし、それ以外は毎分ランダムな数字が表示される様にしてました。)、

Apple Watch
Apple Watch用も作ったりしてました。今見るとかなり間が空いてますね。

最後に私が所有するシドさん関連の物たちを。まずはシドさんのサインの3Dプリント出力による立体化。これは一昨年シドさんに手土産としてお渡ししています。

DMMでナイロン出力で3色作りました。

シドさんの自宅にて、左がシドさん。机の上にこの立体サインが置いてあります。

次はシドさんにサインを頂いたトロンのライトサイクルと、ホットウィールのシドさんデザインのLIMO、そして腕時計のessence。

ライトサイクルは色々なバージョンを所有していますw

下はサインを頂いている時の画像。シドさんの腕にはNUTSと雑誌ラピタのコラボにより販売されたシドさんデザインの白い時計alwaysが巻かれていました。(これは残念ながら私は所有していません。)

以下、サインを頂いた時のシドさんの講演(2007年早稲田大学にて)の時の私メモより(通訳の方の言葉のメモ)抜粋をアップします。

質問:「シドミードさんにとって、デザインとは?」

syd mead:「ある要素の一部だと考えている。車にしろ、音楽にしろ、様々なエレメントが集積して出来上がっている。」

質問:「デザインフィロソフィーは?」

syd mead:「クライアントに対して、『何も知らない』という謙虚なスタイルから良いデザインをしていくというのが私の考えです。なにも知らないが故に誰もやらないクリエイティブなアイディアが出せる。そうしていって、注意深く、クレイジーにやっていく。」「何でもいいからやってくれというのが一番困る。」

質問:「若者へのアドバイスをお願いします。」

(まずシドさんは会場にいる1980年以降に生まれた方を挙手させて、それをざっと見渡した後、)

syd mead:「私は1980年以降に生まれた方との思考も世代も違うが・・・とにかく良く『見て』下さい。記憶は人生にとって非常に重要です。」「また、是非『自分の上をいく人』と接する様にして下さい。」

とのことで、通訳の方の訳が本当にこの日本語が適切だったのかは今となっては定かではありませんが、「注意深くクレイジーに」という言葉が一番ぐっときました。また最後の質問の「今後、手がけたいものは?」に対してシドさんはニコニコしながら

「シド・ミードワールドをやりたい。」

と仰ってました。SYD MEAD WORLDというワードだけでくらくらします。ご本人が生前のうちに是非とも実現して欲しかったですが・・・今からでも良いので、本当にどこかで実現して欲しいと切に願います。あ、いや!ここまで書いて、と言うか昔の記事のコピペしてて今気が付きました。テーマパークの様な施設を作るのではなく、我々がこれからシドさんの描いた未来を築いていけば自然と世界はSYD MEAD WORLDになるんですね!
シドさん、ちょっと時間はかかりそうですが、地球規模でのシド・ミードワールドの実現、待っていて下さい。そして、これまで本当に数多くのカッコイイ夢のある未来を我々に魅せてくれてありがとうございました。

R.I.P.  SYD MEAD.

・・・以上、長くなりましたがSYD MEADさんの時計等のアップでした。

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