SPHINX / REPEAT ELECTRO SUISSE

Alarm

久しぶりのエレキな変態時計の入手です。これはSPHINXの1960〜70年代位の手巻きの機械式時計で、アラームを内蔵しているのですが、そのアラーム機能はメカ駆動でなく、エレキな手段で鳴る様になっています。これまで様々な腕時計を見てきましたが、この鳴らせる仕組み+その構造からくるこの異形なデザイン具合のこの時計は今回初めて知りました。
以前に同様な機械式時計だけどアラーム機能は電気仕掛けで行うNEPROのMEMOTRONをこちらでご紹介しましたが、今回のこの時計はそれを超える変態さ具合です。詳細な仕組みは下の方でご紹介しますが、まずは時計のディティールから。
まずこの巨大な逆台形なケースデザイン、過去にハミルトンの初期の電磁テンプ時計などにアールデコっぽい装飾的なデザインとしてこの様なシルエットの時計はありましたが(サイズはもっとコンパクトでした)、これはそれらを超越するインパクトを持つ巨大な逆台形さ具合です。しかもこの形状は機械式時計に無理やり追加された電気仕掛けのアラームの構造を押し込んだ故の形状であり、ハミルトンのそれらの様な装飾目的のものとは一線を画するものとなっています。

12時位置に大きく赤い指標のある幅の広い回転ベゼルはアラームの時刻合わせ用のものです。右側面の上のリューズはアラームベゼル回転用、下のリューズは通常の時刻合わせ用です。左側面のボタンの様な形状をしたものは上下にスライドするアラームのオンオフスイッチです。

実は入手時、ベゼルを回転させる上のリューズは欠品した状態でした。ので、OHを出した時に時刻合わせのリューズに似たものを探してもらい、付けて頂いたものです。Eさん、いつもご対応ありがとうございます!

しかし、まぁこの変態デザイン(褒め言葉)、逆さにするとブランド名のスフィンクスの頭の様でもありますw

回転ベゼルの指標はかなり文字板側に突出していて、長針はそのギリギリ上を、短針はぎりぎり下を通過していきます。長針、短針とも根本は黒く塗装されているのですが、それ以外はいかにも後から塗装を剥がされた様な感じで金属の下地が見えてます。

で、この時計のアラームの鳴る電気的な仕組みですが、なんと、ベゼルの突出した赤い線の指標の下には電気的な金属の接点が隠れており、それと短針が物理的に接触すると短針自体を媒体として通電し、アラームが鳴るという、すごい力技なアラーム機能となっています。針の黒い塗装が先端の方には無いのもこの通電の為かと思われます。時計の針自体をアラーム起動のスイッチにするとは・・・! 確かにアラーム設定のベゼルの指標の位置=短針の位置なわけで合理的で理にかなってはいますが・・・スゴイです。 しかし、OHとは言ってもエレキな部分の修理は出来ず、今となってはアラーム音も聞く事はできないのですが、おそらく、NEPROのMEMOTRON同様、ブザーっぽい「プーーーー」といった気の抜けた音だったのではと思われます。

その構造をカバーする裏蓋は4つのマイナスビスで固定されています。

そして、裏蓋を開けた状態です。中央にアラーム用の巨大なスピーカーが鎮座しており、左上にはバッテリー、右上には円筒形のエレキなパーツがいます。で、左下は時計用のリューズ、右下にはアラームオンオフスイッチと、このレイアウトのおかげでこの時計のケースが逆台形な形状をしています。

反対側面から。裏蓋を開けただけでは時計の機械は見えず、防水パッキンなども無い為、かなり劣化しています。

基板を外した状態。これで手巻きの機械が顔を出します。そもそもスピーカーって磁石を使用してると思うのですが、時計の機械の真上にスピーカーって大丈夫なんですかね?スピーカー部には何かしら怪しい四角い物体が固定されてますが、、、謎です。表面のベゼル部の接点の構造とかも見てみたかったのですが、これ以上自分でバラすのは怖いのでここまでとしました。

後で気が付いたのですが、ケースの上下には下の画像赤矢印部にスピーカー音を出す為のスリットが空いていましたので、パッキンも何も防水性はゼロですね。

腕に巻いた状態。この変さ、この存在感w

コレクションのページのサムネイル画像に使用したgifアニメの動画版です。

最後にもう一度手に取った状態。ちなみにベルト幅、上は22mmで下は20mmと違います。このベルトはちょうど似合いそうなグレーのベルトを持っていたので20mmのものを付けてますが、オリジナルのベルトはどんなのが付いていたのでしょう。そして発売当時はどんな広告がされていたのでしょう。そういったことを妄想するのも楽しいです。60〜70年代の販促妄想コラ画像を作るのも楽しいかも・・・!

という事で、以上、世の中にはまだまだこんな知らない腕時計があるんだという事を教えてくれた、SPHINXのエレキ系変態アラーム時計のご紹介でした。(2024.4.9.)

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