セイコーの1980年代初頭の、アナログ時計の上にデジタル表示のあるハイブリッドです。H357モジュールを使い、様々なバリエーションのあるシリーズのうちの一つで、これは映画007 / ユア・アイズ・オンリーでジェームズボンドの腕に巻かれていたモデルでもあります。(実際使用されたのはこれの海外仕様バージョンでH357-5040になります。このモデルとの違いは6時位置のクオーツマークがALARM-CHRONOGRAPH表示になっており、映画では更に本体上部にスピーカーのスリット穴のある別モデルの画像が合成され、液晶部には赤LEDフォントによる文字がスクロールで出る合成がされていました。こちらのページでもボンドウオッチとしてご紹介してます。)
黒ベゼルの塗膜の強度が弱く、現存するものはかなり塗装が剥がれてしまっているものが多い様です。これもあちこち角の塗装が剥がれてきています。
デジボーグしかり、この頃のセイコーデジタルの黒ベゼル系モデルはカッコイイモデルが多いです。ビジネスライクなデザインが多い同シリーズの中で、このモデルは黒い精悍な顔つきで良いですね。
デジタル部の時刻はアナログとは別時刻を設定出来、カレンダー、ストップウオッチ、アラームの機能があります。
デジタル部の時刻合わせ、アラームセット等もこのリューズを使用します。現存するものはこのリューズが逝ってしまわれているものも多いので、オークション等で入手する場合は注意が必要です。
で、実はこのモデル、バッテリー(SR927W)が思いっきり液漏れし、リューズ、ブッシュボタンも固着した不動なジャンク品でした。ヤフオクでジャンクなデジタル時計まとめ売りの出品の中で、外装はそこそこ綺麗なこのモデルがまぎれているのを見つけ、格安で入手した次第です。
で、この中味のドナーとなる、同H357モジュールの生きている、下の画像右のモデルを別途入手し、生き返らせました。入手した右のモデルはH357-513Aで、意外とシンプルで良いです。どちらもベルトはオリジナルではありませんが、とりあえず右のベルトを左のモデルに使用してよしとしました。
裏蓋はほぼ同じです。
で、モジュール入れ替えの為、リューズを抜き、バラシ。リューズが最初全く抜けなかったのですが、よく見たら何かのプラスチック片が巻芯部に挟まっていたからでした。で、そのプラスチック片は何かと思ったら、なんと硬化して割れたパッキンのゴムの破片でした。
針も抜き、文字板も外します。文字板の足が意外としっかり付いていて歪ませずに外すのに苦労しました。
外した文字板の裏はこんなでした。電池の液漏れがこんなにも侵食していました。
こちらもバラシ。
バラバラ状態になった両方のパーツ達。(文字板付けずに針だけ付けて組んだらTISSOTにあったモデルの様になりますね。)
で、入れ替え完了。無事動き出しました。デジタルのモジュール入れ替えはちょっとした事で液晶が点灯しなくなってしまったりするので(その原因がまた大抵何故だか判らない。。)、毎回ドキドキです。
ケースに納めて完成。ちなみにこのモデル、今でも時々デッドストックで出てきたりしますが、かなりの高額になってきてしまっています。これまで80年代国産デジタル系は街の時計屋でデッドストックを数千円で入手してきましたので、今となってはデッドストックを何万も出して入手する気にはなれません。今回もジャンクの組み合わせで、結果、費用は数千円でした。
もともと国産アナデジモデルにはあまりひかれるものが無く、今回はセイコーデジタルボンドウオッチコンプリート目的での購入でしたが、改めて見ると、このモデルはカッコ良かったですね^ ^
以上、ボンドウオッチでもあるセイコーのアナデジ時計、ハイブリッドのご紹介でした。(2022.2.11.)