チタンの3Dプリント出力でペンダントヘッドを作ってみた

メリークリスマス、という事で、妻へのクリスマスプレゼントとしてレーザー焼結タイプの金属3Dプリント出力でチタン製のペンダントヘッドを作ってみました。DMMでの出力だとこの位の大きさで送料込みで4,000円台で作れますので、モデリングスキルのある方ならば自分の工数を考えても費用対効果はかなり大きいのではないでしょうか。以下、ご参考までに制作工程などをご紹介します。

まずはざっくりiPhoneのお絵かきアプリでスケッチを描き、デザインを考えます。(最近はもっぱらibisPaintを使用。スタイラスの様なものは持っていないので、指で描き描き。)

何となく方向性が決まったらシルエットをイラレで描き、

そのシルエットをライノセラス(3Dモデリングソフト)に持っていき立体化。(この位のラインならライノでも描けますが、アンカーポイント操作によるスプライン曲線はやはり慣れたイラレで描きます。)葉っぱの様な、宇宙っぽいホアキンベラオ、STAR WARS Episode1のNaboo Royal Starshipの様な、といった感じでしょうか。面の感じが気に入るまでいろいろ作ってみます。

ほぼ決定案。エッジは3Dプリントではきっと出ないのでデータ上は稜線はエッジのままで出します。外形の穴まわりの稜線の走り方も未完成ですが、時間もありませんし、このあたりは出力後の研磨で仕上げるので、モデリングは最低限で留めます。

で、そのデータを今度はレンダリングアプリのKeyShotで開き(ライノのデータそのまま直読みできるので楽です。ライノでもレンダリングできるのですが、KeyShotの方が圧倒的に楽にいい感じに仕上げられます。)、ざっくり完成予想図を作ってみます。レンダリングかけてる時間もないので、以下は全てKeyShotのスクショです。

KeyShotは作業画面でもほっとくとリアルタイムレンダリングかけてくれるのでちょっと放置した画面のスクショでもこの位のクオリティーになってくれ、検討用ならこれで十分ですね。

なかなか良さげです。縄文時代の矢じりの様でもあります。

ついでにテクスチャーをいろいろ変えてみました。

で、最初はサイドビューがこんな感じだったのですが、この外周のエッジ感がかなり鋭利で凶器っぽくなりそうなので、

このくらい、側面に平面を与えることにして刃物っぽさを緩和させました。首から下げるものですので、あまり危険な感じにはしない方が良いとも思いますし。。しかし見た感じはかなり鈍重な感じになってしまいますので、悩みます。

さらにKeyShotで眺めているうちに下の画像の右の様な、穴の大きい案も思いついてしまいました。こっちの方がシンプルで良いかなぁ、、、と散々悩み、

結局、初の金属3Dプリント出力ということもあり、予備の意味も含め、3案全て出力することにしました。(単に現物見ないと判断できない小心者なだけですね)

で、データをSTL化し、DMMへ出します。出したメッシュデータの図が妙にカッコイイ。

ちなみにDMMでこの位のサイズ3つを一度にチタン出力で9,325円(1個あたり3,108円)でした。出力後バレル研磨で表面を仕上げるまでやってくれるサービスもあり、それだと3個で11,635円になりますが、どの位研磨されるかも分からず、きっとエッジもだれそうなのでやめました。

1個だけの出力だと4890円(バレル研磨仕上げ有りだと7,200円)とちょっと割高になります。予備も含め複数個作る時は一緒にデータ出しをした方が良いですね。素材は今回はチタンを選びましたが、いわゆるジュエリーと同じシルバーも選べますが、それは3Dプリント出力したものを型にして注型して作るので、かなりの高額(このサイズで1個15,000円程)で時間も8〜28日かかります。また本当はステンで出そうかと思っていたのですが、何故か素材の選択肢にステンが出ず、あったにしても価格がチタンよりも高く納期が28~35日と長いので、それではクリスマスには間に合わないので、結果、今回はチタンにしました。(それでもチタンでの納期は8〜15日でギリギリでした。)

また、DMMへの問合せで出力時のデータの置き方の向きを希望(データのまま平置きで出力すると上面が鈍角のテーパー面なので、積層痕が出そうだったので90度立てての出力を希望)したのですが、「コストを抑える為、ある程度依頼が溜まってから出力するので、その時の複数データのスペース効率を優先して決めるので造形方向の指定には対応できない」と冷たくあしらわれました。粉末焼結タイプならFDMの時の様な積層方向は気にしなくても良いのかもですが、少なくともデータ出しの時は希望する置き方でのデータ出しが良さそうです。(それでもスペース効率で変えられるかもですが)

という訳で、データ出しをし、納品されたものがこちらになります。

ばーん!おぉぉぉー、初の金属3Dプリント!結構ちゃんとできてるー!

しかし、サイズ感はまぁ、想定内な感じですが、、、な、なんと言いますか、積層痕どころでは無い、想定以上の面の粗さです。金属粉末焼結の粒状感など全く感じられない、それを超越したこてこてのちりめん塗装の様です。

均等な粗さ具合なので、これはこれで逆に手の込んだ仕上げの様でもあり、良いっちゃあ、良いのですが、、、今回はこの仕上げは目指す方向とは違いますので、これはひたすら研磨するしか無さそうです、、、しかし、これ研磨で平滑にできるのでしょうか???チタンって固そうですし。。

あと、心配していた側面のエッジの刃物感ですが、 側面の薄い下の案ではやはり磨いていくとかなり鋭利な形になってしまいそうですので、今回は上の方を仕上げることとしました。また穴の大きい案も同様に薄い側面でしたので、その案も今回は無しとしました。

ということで今回はこれを仕上げていきます。

ちなみに出したデータと出力後のサイズの比較です。幅は0.1mm程狭くなり、厚さは0.3mm程薄くなってます。エッジが出ていないので厚みが減るのは分かりますが、何故か長さ0.2mm程長くなってます。均等に小さい、大きいなら分かるのですが、、、まぁ、このくらいはしょうがないですかね。出力後の研磨も考えると気持ち大きめで出すのが良さそうです。しかしペンダントヘッドだからある程度の大きさの拡大、縮小は良いのですが、指輪の場合はサイズがありますので、あまりにサイズが代わってしまうのはつらいですね。

12月頭に思いつき、データ作りをし、5日にデータ出しをしてから11日後の16日に納品されました。大抵うちではクリスマス前の週末にケーキ食べたりするので、、、その時にあげるとなるとあと2日しかありません。木、金の帰宅後の作業でこそこそ研磨して間に合うのでしょうか???幸い私はよくこもって時計をシャコシャコ磨いてる時があるので、今回もそれ風に磨いていれば妻にはバレなさそうですが、、、それにしても時間が!会社休んでどこかのFab Labとかに篭るか!?とも思ったのですが、仕事的に休むこともできず。。。

ということで研磨作業に入りました。まずは試しにボツ案の方を目の細かめな金属のやすりでガシガシ削ってみました。意外とチタンでもステンとそう変わらずに研磨出来、平滑にするにはかなり削らねばですが、これならいけそうという事が分かりました。

最終品研磨途中の図。手前のテーパー面のみざっくり研磨。かなり凹凸がなくなりましたが、調子に乗って削りすぎてセンターのエッジを蛇行させない様に注意が必要です。

ひたすらシャコシャコ。3Dプリント出力の特性なのか、小さい気泡状の穴が多々あり、そこを消せたかと思うと他の部分で気泡状の小さい穴の凹面が出現、と、無限ループになりそうでしたので、ある程度は妥協しました。

大分いい感じになってきました。手が汚くてすみません。

耐水ペーパー作業に移り、240番、400番、800番、1000番、2000番と徐々に目の細かいサンドペーパーで磨いていきます。

ひたすら磨く。

最後はペースト状の研磨剤のAmorで仕上げ。ピカってきた!

で、ほぼ完成な状態。意外と2日で綺麗になってくれました。実働6〜7時間位でしょうか。私的にはかなりくらくらきてますがw

カッコイイ!鏡面というよりは目の微細なヘアーライン仕上げな感じです。ここはルーターなどを使って研磨すればもっとピカったかもですが、時間もないことですし、鏡面よりもしっとりと大人っぽくてこれでよし!としました。あ、ちなみに研磨したのは片面だけで裏はそのままとしました。表裏で表情が全く異なるというのも良い、ということで。

インスタにアップした動画です。やはり動画が分かりやすいですね。

 

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で、買ってきた革紐を付けてみました。おぉー、一気にアクセサリー感が!

この様な太めな丸い断面の革紐も準備もしましたが、この通し方だと首から下げた時にペンダントヘッドが横を向いてしまうのでやめました。間に1つ小さい金属のリングをかませれば正面を向きますが、イマイチっぽっそうですので、その案もやめました。

ということで、完成の図。それっぽいですね。て言うか、やはりかなり矢じりっぽいですね。チタンって、シルバーの様に放置してると黒ずんでくることもなくジュエリーの素材としても良いのではないでしょうか。

正面から。

その他、色々なアングルで。

所有する腕時計の箱で綺麗めな物を準備し、それにパッケージ。ペンダントヘッド部は両面テープで軽く固定しました。

完成〜。なかなか良いです。自画自賛します。納品されるまで物理的な物を一切手にする事無くデジタルなモデリング作業でデザインし、最後の仕上げ時のみアナログな手仕上げ作業をするという、デジアナなジュエリーデザインの工程って良いですね。

で、迎えた週末。ケーキを食べながら無事妻にあげることができました。かなり気に入ってくれた様で、良かった。

・・・身に付けるものとしての最低限の制約はありますが(今回の様に危険にならない等)、ほぼ自分がこんなものが欲しいと思った形状を自由に作れるジュエリーデザインって、制約まみれな中で新しい造形を見出すプロダクトデザインとはちがった、開放された造形力が試されて面白いですね。以上、ペンダントヘッドを自作してみたことのご紹介でした。(2020.12.17.)

2021.1.2. 追記・・・Adobe AeroというARアプリでこのペンダントヘッドをAR表示してみました。インスタにアップした動画です。

 

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このアプリを使って完成した時の雰囲気を見てみるのも良さそうですね。テクスチャーをちゃんと割り当てればもう少しリアルに見えるかと思います。アプリ内で拡大、縮小なども出来ますので、サイズ感の検討にも良さそうです。以上、Adobe Aeroで表示してみた事の追記でした。

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