CITIZEN / COSMOTRON SPECIAL

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これはシチズンから1972年に発売された電磁テンプ時計のコスモトロンスペシャルです。Cal:7800、10振動で世界初の時報合わせ機能もある、シチズンの電磁テンプ時計の最終形態かと思われます。電磁テンプとしてハイスペックな時計ですが、ケースデサインもそれに相応しい、骨太で重厚なケースがカッコイイです。(1966年発売のシチズン初の電磁テンプ時計はこちらでご紹介してます。)

正面から見るとかなり普通な感じですが、(秒針の後端はシチズンの電磁テンプ系に見られる特徴的な形をしていますが)

側面から見るとソリッド感のあるケース厚が見え、カッコイイです。

この重厚感と、ランボルギーニ・アヴェンタドールのバックミラーからエアインテークあたりまでの強烈なねじれ面並の、この側面のねじれ具合、良いですね。

その両サイドのねじれ面と共にラグ部の上面も3次曲面なんですが、その折れ目の稜線を真正面から見てほぼ直線で走らせながら下降させていき、各面を歪ませる事なくラグの開口部の角に一致させるという、3D CADなど無い時代、この形状を作るのはかなりの技術を要したのでは?と思われます。当時のこのケースの切削工程を見てみたいものです。

左側面には世界初の時報合わせ機能のボタンがあります。進み遅れが正時(10時ちょうど等)に対して±3分以内の時にボタンをぐいっと押し込むと、時、分、秒針が正時(10時0分0秒)ジャストに修正され、ボタンから指を放すと動き出します。使い方としては時報少し前にボタンを押し込みリセットさせた状態でホールド、時報と共に指を離しスタートさせる、という感じかと思います。(±3分以外の時は秒針のみ帰零させることはできますが、分針はそのままなので、秒針と分針の角度のズレが生じるのでおすすめではありません)またボタンを押した時、「時針も正時にセットされる」(=10時なら時針がビシッと10時の位置を向く)様なのですが、実際±3分以内の時の時針はほぼ正時(10時ちょうどの位置など)を指しているので、実感としてほとんどわかりません。

インスタにアップした時報合わせ機能のボタンを操作している動画です。

 

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そのあたりを記載しているシチズンの総合技術解説書と。(ハートカムを使用した構造的なしくみの解説のページもあるのですが、私には難解すぎで理解できません。。)この時計、下の画像にある様に、日にちと曜日のセットも非常に特種ながら簡単で、12時位置を上にした状態でリューズを押すと日にちが送られていき、12時位置が下になる様にして持ちリューズを押すと曜日が送られる様になっています。

で、背面もまたカッコイイです。裏蓋は無く、電池蓋と緩急調整軸にアクセスする為の蓋があります。よく見ると継ぎ目があるので、ワンピース構造ではない様ですが、このソリッド感、セイコーの300ダイバーの様でもあります。

電池蓋を開けた状態。バッテリーは44SWです。

緩急調整用キャップを開けた状態。奥にマイナスドライバーで回転させる緩急調整用の軸が見えます。裏蓋が無い為にこの様な構造になっているのですね。

腕に巻いた状態。腕に巻くと意外と小ぶりです。

当時のカタログと。当時23,000円でブルー文字板もあった様ですね。

前回アップした音叉時計のハイソニックと。どちらも1972年発売のモデルです。右、「まだまだ最高精度時計の座は譲らないぜ」と言わんばかりの電磁テンプで10振動のコスモトロン、かたや後発の音叉で月差±1分の飛躍的な高精度化を実現したハイソニック。どちらもエレキ時計黎明期の名機ですね。

デザインの方向性は全く異なりますが、どちらもそれぞれにカッコイイです。外装デザインにおいてはセイコーよりもシチズンの方がチャレンジャブルだったと思います。

いずれにしても、この頃の時計は作り手の「熱量」が感じられて良いですね。以上、シチズンの電磁テンプ時計のコスモトロンスペシャルのご紹介でした。(2021.7.4.)

2021.7.10. 追記・・・こちらのページに同モデルの角型ケースバージョンをアップしてますので、宜しければ併せてどうぞ。

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