スイスの時計メーカーAlpinaの自動巻きの時計、FUTURAです。おそらく70年代のものと思われます。下の画像の様にものすごいフジツボ形状をしています。(Alpinaって現在はBULOVA同様、シチズンの傘下の様ですね)
反対側から。ほぼデッドストック状態でケースのヘアーラインも綺麗に残っています。
三角の穴の開いたベルトもオリジナルです。
このケースのエッジ、すごいです。
側面から。どう見ても腕に馴染まなさなそう形状です。
裏蓋はスクリューバックですが、とても開けにくそうです。
で、この時計、専用のベルトの長さ配分が普通の時計と違い、上のバックルのある方がかなり長く、逆側はとても短くなっています。
何故にこんな長さ配分になっているかというと・・・
この時計を腕に巻く時に、バックル部が普通のベルトと同じ様に手首の内側のこの位置にくるようにつけると・・・
自然と時計本体はこの様な横方向を向く様になります。この方向につけるとすごい断面形状の本体もかなり腕に馴染みます。
で、通常の時計とは異なり、こちら方向に文字板が向く、ということはつまり・・・
こういう事ですね。この時計はハンドルを握りながらでも手首をひねる事なく時刻確認ができる「ドライバーズウオッチ」だったのですね。このすごい突出量のフジツボ具合も実は文字板が袖で隠れてしまうのを防ぐ為の配慮なのかもしれません。(袖で隠れた時計をハンドルを持つ反対の手で文字板を出させる様なことをさせない為の配慮)しかし、この手首への装着ポジションに加えて文字板の角度をジウジアーロのそれの様に右に傾けると、より見やすくなって良かったでしょうね。それをやらなかったのは、そこまでせんでも、と思ったのか、右手につけると逆向きの傾きになってしまうからやめたのか・・・そう言えば、昔コラーニさんも同様にこちら側に付ける時計を作っていたと思います。もしかしたら手首にある時計の姿としては実はこちら向きの方が通常使用でも良い気もしてきました。手首ひねらずに見れますし、LED時計のサイドビューウオッチもこちら側から見るのですが結構見やすいですし。どうでしょう?
また、この時計、オリジナルのベルトがキモで、この長さ配分のベルトでなく、通常のベルトを付けて同様に手首側面側につけようとするとバックル部が手首反対側面にきてしまい、すごくすわりが悪いです。昔アンティークウォッチショップで私のとは異なる物を見た時は普通のベルトが付いていて、ドライバーズウォッチである説明書きも無く、単に「装着感の非常に悪いインパクト勝負なだけのフジツボ時計」という残念な事になっていました。もしもオリジナルのベルトが無い様だったら、全周伸び縮みするエクステンションバンドか、最近だったらApple Watchのソロループの様なバンドがあると良さそうですね。・・・以上、ALPINAのドライバーズウオッチのご紹介でした。(2021.3.1.)