英国のシンクレアから1975年に発売されたLEDデジタル時計です。シンクレアの製品はどれも非常にカッコイイのですが、腕時計においてもこの様に非常にシンクレアらしい、端正でカッコイイモデルを発売していました。
極めてフラットでスクエアなケースデザインでケース前面には縦方向の細いスリットが彫られています。また表示部はシンクレアの電卓同様、紫っぽい透明窓です。カラバリはこの黒以外に白とグレーがありました。
本体前面の表示窓の下のあたりが微妙に2箇所丸く凹んでいます。実はここが操作スイッチになっているのですが、元々は凹んでおらず、「この面のこのあたりを押せば時刻表示をする」という、スイッチレスなデザインでした。構造的にはプラスチックケースのこの部分の裏面が丸く肉薄になっており、その肉薄の部分を押すとプラスチック外装の「歪み」で凹み、中のスイッチが押され通電するという仕組みになっています。ので、使用しているうちにこのケースの円形の肉薄部分がだんだんとこの様に微妙に凹んできている様です。静電スイッチなど無い70年代にこの仕組みのスイッチは当時としてもかなり画期的だったかと思われます。機能としては左部押しで時刻表示、右側押しで分と秒表示をします。
表示窓部左下にはsinclairの凸の型文字があります。ケースは全てプラスチック製なので非常に軽いのですが、ぱっと見はこのデザインのおかげでプラスチックっぽい安っぽさは感じられません。
しかし手に取るとやはりプラスチックな質感ではあります。このベルトもオリジナルかと思われますが、バックル部以外はおそらくアルミに塗装ではないかと思われる軽さです。
このパキパキな四角さ具合、いいですね。残念ながら私のこのモデルは不動なのですが、なんとか復活させたいです。もしくはどなたかクラウドファンディングでこの時計の復活を企画してくれませんかね。
表示部拡大。奥のLED発光部はレンズの様になっています。
背面です。裏面はとたんにチープな感じです。上の方の丸い部分は時刻修正用のボタンです。
パコッとはめるだけのバッテリーカバーを外した状態ですが、蓋の裏にあるはずの金属の端子部がありません。
以下、私も20年前に入手以来、初めてこの時計をバラしてみます。まずはこれもパコッとはめてるだけの裏蓋を外した状態。
基板を固定している4箇所のツメを外し、
取り出した状態。操作キーの裏面はこんなでした。こんなで通電するんですね。
基板を正面に向けるとこんな感じ。LED部は赤いですね。
基板拡大。結構あちこち断線してました。
反対側から。配線をリード線などで繋げ直し復活させたいです。
基板とケースを並べて。ここまでバラして満足したので、また元に戻しておきました。
で、この時計、自作の工作キットとしても販売していました。このキット状態で$29.95、組んだ腕時計の状態で$49.95で販売していた様です。
前カバーパーツの裏面です。基板はLED部等、私のものとは異なる様です。
未使用なだけあって非常に綺麗な前カバーパーツ。操作ボタン部は凹んでません。
以下はご参考までに。昔、時計雑誌で連載していた私のページです。(大抵見開き2ページだったのですが、この回だけは3ページ構成で前にもう1ページありました。)黒い時計特集として、このシンクレアの時計をメインにシンクローナやlipのLED時計、AMIDAのDIGITREND、デジアナブラッキーを紹介していました。
その撮影時のデータもこの時は頂いてました。シンクレアと言えば私的にはこの下に置いている電卓、Sovereignですので、一緒に撮影。(ブログのこちらのページにてこの電卓などの画像をご紹介してます。)
という事で、最後にもう一度斜視を。
以上、シンクレアのLED時計のご紹介でした。(2021.4.4.)