シチズンの1976年発売の液晶デジタル時計のクリストロンアラームです。デジタル時計にアラームを搭載した世界初のモデルです。これまで何度か入手する機会はあったのですが、どれも程度がいまいちだったので入手には至っていませんでしたが、先日ようやくタグ等の付いたデッドストック状態のものを入手することが出来ましたのでアップします。
クリストロンアラームは様々なデザインのモデルがあったのですが、この六角形のケースデザインのものが一番ロボっぽくてステンのソリッド感もありカッコイイです。
下は入手時の状態です。シチズンのビニール袋(店舗での保管用?)も付いており、ベルトに付いたタグもとても48年前の紙には見えない綺麗さです。かなり保管状態がよかったんでしょうね。感謝です。
と、外装は極上だったのですが、実は入手時は液晶は点灯しておらず、通電するか不明なものでした。
大抵そういった物はムーブは死んでるのですが、ダメ元で裏蓋を開けて見てみましたが、やはり電池が思いっきり死んでました。で、とりあえずバッテリーを外そうと思ったのですが、なんとバッテリーを固定している板金のマイナスビスが固着していてどうにも回す事が出来ず、電池交換できない状態でした。最近は固着したネジを外す道具とか溶剤もある様ですが、時間もかかりそうなので、ここはドナーを探そうということにしました。
で、検索をかけたら、外装の程度は悪いのですが、液晶は生きてるものを見つけ入手しました。下の画像右のものがそれです。同じデザインの物でなくてもムーブさえ同じであれば別デザインのものでもよかったのですが、同じデザインのモデルを入手することが出来ました。昔はこのモデルはオークション等にも全然出て来なかったのですが、最近はちょくちょく出てきてる様で、やはりコレクターが終活してきてますかね。
ちなみに1977年のシチズンのカタログには同クリストロンアラームは12種類のデザインが掲載されています。左の金色外装のモデルは5万円台で、それ以外のモデルは3万円台で、その中ではこのモデルが一番高額の38,000円でした。金色モデルはその外装のコストアップ分で高くなっているので、実質このモデルが同シリーズの最上位機種になりますかね。発売が1976年ですので、1年ほどで一気にデザインバリエーション増やして攻めに入ってます。
と言う事で、ムーブの入れ替えでバラシに入りました。下はベルトも外し、裏蓋も外した状態です。ベルトはなんと割りピンの圧入での固定でした。裏蓋はアラーム音を共鳴する為に二重構造になっています。
右がドナーです。このモデル、パッコンと開ける裏蓋がものすごく開けにくく(私も開けた時に薄い内側の裏蓋を歪めてしまいました。)、また閉じるのも非常に閉じ難く、ドナーの2重の裏蓋がかなりボコボコな状態で、悪戦苦闘した痕跡が残っています。
ムーブ表側。ムーブには違いはない様です。リューズを抜く必要のないデジタルのムーブの入れ替えは楽ですね。
という訳で、無事交換完了した最初の画像の状態。生命が宿りました。
カッコイイです。
ケースのヘアーライン、ガラスのカット面が美しいです。前面右の黒いボタンを押すとアラームを設定した時刻を表示します。左は修正用のボタンです。
もうちょっと角度を振ってもう一枚。このソリッド感、良いですね。前面の文字はかなり繊細なのですが、色が抜けた筐体なども見かけますので、彫刻色入れの様です。
背面です。アラーム用のスリットの穴は6つありますが、ドナーのモデルは3つでした。
専用のベルトもステンで良い出来です。
最後に腕に巻いた状態。カクカクでカッコイイ。
サイズはかなり小ぶりです。デジタルと六角形はどうしてこう相性が良いのでしょう。
機能的には時刻を知り、アラームが鳴るだけですが、とても存在感のある時計です。・・・以上、やっと入手することが出来たシチズンのデジタル、アラーム付き初号機のご紹介でした。(2024.1.21.)