SEIKO / QUARTZ LC V.F.A. 06LC

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SEIKO QUARTZ LC V.F.A. 06LC
Cal.0614A 諏訪精工舎(現セイコーエプソン)製。1973年10月5日発売。当時135,000円
国産初の液晶デジタル時計で、しかも『秒まで常に表示する液晶デジタル時計としては世界初』の6桁液晶表示のデジタル時計です。3ピース構造の外装はチタン製です。(チタン外装のデジタル時計としても世界初かもしれません。ベルトはステンです。革ベルト仕様もありました。)当時のプレス発表資料を見てみると、発売当初は東京地区のデパート、専門店のみで販売された様です。大卒初任給が74,000円だった頃に135,000円ですから、相当高価な時計だったことと思われます。
前面のスイッチには心地よいクリック感があり、中央に色入れがされています。右の赤く色入れされたスイッチは通常はライト点灯用で、時刻修正は右側面のスイッチを引き出した後、前面スイッチで合わせるという、デジタルでも「側面のリューズ(この場合はスイッチですが)を引き出して時刻修正をする」というこれまでのアナログ時計の作法に倣った操作になっています。
本体デザインもスクエアでシンプルな造形ながらも優しい、オリジナリティーのある形をしています。当時の製品紹介の資料には「ユニークなフルフローラインを生かした角型ケース」とあります。フルフローライン…当時のこの時計のデザインコンセプトワードですかね?確かに四角いながらも直線部の無い、フルにフローな(流れる様な?)ラインで構成された、非常に魅力的な造形です。
下は上のモデルのケース素材をステンレスにしデザイン変更をしたモデルです。機能的には全く同じで、より直線的なデザインになっています。外装のステン化、スイッチの色入れ廃止等、コストダウンが図られている様ですが価格は同じ135,000円でした。

SEIKO QUARTZ LC V.F.A. 06LC ステンケース
Cal.0614A 諏訪精工舎製。1973年発売。当時135,000円
下は06LCが発売された1年後、約半額の65,000円で発売された後継モデルの06LCAです。06LCのデザインをベースに、よりベルトと一体感を持たせたシンプルなデザインとなっています。外装はオールステンで、時刻修正もセレクトアンドセット方式に変更されました。また、背面にはコインで開けられるバッテリー蓋があり、容易に電池交換が出来る様になりました。このモデルは比較的多く生産された様で、前は古い時計屋をまわると結構入手出来ました。
SEIKO QUARTZ LC 06LCA
Cal.0624A 諏訪精工舎製。1974年12月19日発売 当時65,000円
2012.12.31.追記・・・06LCの分解画像等を以下に追加します。
ほぼデッドクトック状態の06LC。チタンの鏡面仕上げ面がキレイです。
下の画像のベルトもオリジナルなはずですが、ワニ革ベルトです。当時のカタログ等を見てみると革ベルト仕様もあったことは確かなのですが、大抵オストリッチ(ダチョウ)革のものが付いており、ワニ革仕様の画像は見たことがありません。・・・ので、このベルトが本当にオリジナルかどうかはいま一つ定かではありません。
ステンケースモデルとのツーショット。中央のスイッチは左にオフセットしているのですが、良く見てみると3つ揃って左にちょっとオフセットしています。
以下、電池交換時にバラした画像です。まず、上ケースを外した状態です。ベルトをはずし、手前のムーブメントの下の方に見える2つの板バネ状のツメを押しながら上ケースからはずします。
乗っているだけのフロントカバーを外した状態。
パッキンをムニムニっと取ると、そのパッキンにちょこっと付いているミミ(下の画像の パッキンの下方の凸部)で隠された穴が登場し、そこを細い棒で押し込みつつ、側面のスイッチをそっと引くと側面の時刻修正用のスイッチ抜けます。このアナログ時計のリューズを抜く作法を取り入れているあたりが「時計」らしくて良いですね。
側面のスイッチが抜けると中の基板が取り出せます。バッテリー交換時はここまでバラす必要があります。
基板の拡大です。電子部品1つ1つ丁寧にハンダ付けされた基板を積み重ねた、歯車の1つも無いムーブ、カッコよいです。他の家電製品等と違い、腕時計のムーブはケースにしっかり密封された状態で保持されますので、 とても40年以上も前のものとは思えないキレイさを保っています。・・・なんと言いますか、数年に一回、電池交換で開けるたびに当時の空気が蘇る様な、タイムカプセルを開ける様なドキドキさです。
基板を出した後のチタンケースの内面はこんなです。
バラした状態を並べた図です。
電池交換はこの後、接点の金属パーツをはずして電池を交換し、逆の手順で組み上げていきます。
以上、バラシの画像等の追加でした。下の画像にある他の初期国産デジタル達は追って個別にアップしようと思います。
ちなみに、以前に旧サイトにアップした同じ画像(低解像度、UTDESIGNのウォーターマーク無し)が海外のサイトに勝手に貼られまくってますが、オリジナルはこちらの画像になります。(ので、今回見にくくてすみませんがデカめなウォーターマークを入れさせて頂きました。雑誌記事、文献等の資料としてウォーターマーク無し高解像度画像、もしくは現物貸し出し等ご希望な方はCONTACTのページよりお知らせ下さい。)
2019.10.04.追記・・・この06LCは独立行政法人国立科学博物館が認定する2019年度“重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)”に登録された様ですね。(こちら)おめでとうございます。しかしその公式画像の肝心の液晶表示がなんとも怪しい感じに汚いのが残念です。06LCの数字を表示する7セグメントの切り方が今のデジタルには見られない、非常にオリジナルな切り方でカッコイイのですが。。(下は私の画像です。)
ベルトも80’sデジタルな薄っぺらなベルトが付いてしまっていて残念ですね。セイコーさん、ご連絡頂ければいつでも画像提供もしくはサンプル貸し出し致します。
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