SYD MEAD JAPAN / PROMISE

私は以前、とあるご縁でシド・ミードさんの日本におけるエージェント業を（本業とは別で）お手伝いすることとなり、2009年のSYD MEAD JAPANの立ち上げから2011年末までプロダクトデザイナーとして協力させて頂いてました。既にシド・ミードさんは2019年末に他界されてしまいましたが、今回はそのSYD MEAD JAPAN時にシドさん監修の元、私がデザインし販売した時計、PROMISEを改めてご紹介します。

PROMISE（シドさん命名）は2010年のシド・ミードさんのオフィス設立40周年を記念して、オフィス設立年の1970年にちなんだ1970本を限定生産した時計です。（既に販売は終了しています。）カラバリは白黒2バージョンあり、白モデルはSYD MEAD JAPAN限定モデルでした。文字板だけでなく、時計本体、専用シリコンベルトもオリジナルデザインを起こしています。

デザインのモチーフはシド・ミードさんによるこのビジュアル（映画ブレードランナーのスピナー）です。発売当時は大人の事情で「ブレードランナー」とか「スピナー」とか記載する事は一切自粛してました。

スピナーのアイコニックなライティングをモチーフとして、極めてグラフィカルにデザインしました。下は販促用に作成したビジュアルです。

黒いシンプルな本体に、
・スピナーのホイールカバーの円弧状のライティングを文字板に
・本体後方エアブレーキの斜めのライティングをベルトに
・屋根のライティングをリューズの色入れ
で表現しました。

本当は針はZODIACのAstrographicの様に透明円盤に指標を印刷した針にすることにより、物理的な要素を極力排除し、より平面構成的なイメージにしたかったのですが、量産する中国から来たサンプルの出来があまりに酷かったので、止むを得ずこの様な通常の針になっています。そのこと以外はほぼ当初のイメージ通りのビジュアル的にインパクトのあるデザインに仕上げる事は出来たかと思います。

裏蓋にはデザインモチーフとしたスピナーのシルエットとシリアルナンバーが刻印されています。ライティング部分は色入れです。

専用のボックスもデザインしました。エンボス加工によるスピナーのシルエットとシド・ミードさんのサインだけという、非常にシンプルなデザインです。また、発売年がちょうど「2010年」だったことにちなみ（映画2010年でもシド・ミードさんがレオノフ号等デザインをしています。）、箱のプロポーションを1 : 4 : 9 とし、『モノリス』のプロポーションにしています。

ポストカードとステッカー、保証書が同梱されており、特にシド・ミードさんステッカーは世界初かと思います。（当時のiPhone4に貼るのに丁度よい大きさにしていました。）

販売当時の渋谷ロフトでの店頭ディスプレイ。

かなりトリミングした状態ですみませんが、シド・ミードさんご本人に持って頂いている画像。シド・ミードさんからはメールでこのデザインについて「SUBURASHI!!!」（スバラシイ、ですね）とお褒めの言葉を頂いてました。

シド・ミードさんの作品集、THE MOVIE ART OF SYD MEADでは腕に巻いて頂いてます。

・・・という事で、ここまでは以前の記事の転載でしたが、今回この記事をアップするにあたり、11年ぶりにデザインをちょっと手直しをしてみましたので、以下にご紹介します。

やったことは、Astrographic風の宙に浮いて見える透明円盤に印刷による長針、短針への変更、リューズの径と突出量の見直し、文字板の円弧のモチーフを印刷をやめ穴にし、下に別パーツを入れ表現、（これは回転する円盤にして朝夜で色が変わる様に出来たりすると良いかも）、インデックスも印刷を廃止して立体的にする等々。